用語集


あ行

言渡しの日
事件を起こした者が、裁判で判決を言い渡された日のこと。
 
委託保護
更生保護施設が保護観察所長の委託に基づき保護を行うこと。
 
1号観察 
→ 「保護観察」参照。
 
一般刑法犯
→ 「刑法犯」参照。
 
一般遵守事項(いっぱんじゅんしゅじこう)

すべての保護観察対象者が保護観察期間中に守らなければならない事項。一般遵守事項・特別遵守事項に違反した場合は仮釈放取消等の「不良措置」がとられる。

 【参考】 特別遵守事項

 
一般調整

特別調整でない従来の生活環境調整制度のこと。

 【参考】 特別調整

 
医療刑務所

身体・精神上の疾病や障がいがある受刑者を収容する施設。薬物やアルコールの依存症も対象となる。身体、精神疾患等の者を収容する施設として東京都八王子市・大阪府堺市に、精神疾患等の者を収容する施設として愛知県岡崎市・福岡県北九州市の、全国に4か所に設置されている(平成214月現在)。

 
医療少年院
家庭裁判所によって心身に著しい故障があると審判された、おおむね14歳以上の罪を犯した少年を収容する施設。満26歳まで収容できる。全国に2か所設置されている。(平成214月現在)
 
医療保護入院

精神保健福祉法33条に定められている精神障がい者の入院形態の一つ。精神障がい者で、医療及び保護のために入院を要すると精神保健指定医によって診断された場合、精神科病院の管理者が本人の同意がなくても、保護者または扶養義務者の同意により、入院(4週間限定)させることができる制度。

【参考】 措置入院

 
引致(いんち)

一般的には、身体の自由を拘束した者を一定の場所又は一定のところへ強制的に連行することをいう。保護観察所における引致は、保護観察対象者に遵守事項を遵守しなかったことを疑うに足りる十分な理由がある場合等に仮釈放の取消しの申出等の前提として、所要の調査をするため、保護観察対象者を強制的に保護観察所等一定の場所に連行する必要がある場合にとられることが多い。

 
SST(えすえすてぃ)(Social Skill Training:社会生活技能訓練)
障がい者を生活者として捉え、個人の持ち味や長所に焦点をあて、本人自身がストレス状況に対処できる技能を身に付けるための体系的・構造的プログラム。本人のストレス状況を再現し、それを支援者と共に検証。検証した結果、本人がストレス状況を解決するためにできる行動をロールプレイにて訓練する。
 

恩赦(おんしゃ)

行政権によって、国の刑罰権を消滅させ、裁判の内容を変更させ、または裁判の効力を変更もしくは消滅させる制度であり、大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除・復権の5種類がある。
か行

確定の日

判決内容が確定する日。通常は言渡しの日から15日目であり、判決内容に不服がある場合、言渡しの日から確定の日までの15日間であれば上訴できる。

 

家庭裁判所調査官

→ 「少年審判」参照。
 
仮釈放制度

受刑者を刑期満了前に釈放し、円滑な社会復帰を促進すること等を目的とする制度。①有期刑3分の1、無期刑10年を経過していること、改悛の状があることが要件となっており、「引受人」「帰住地」があることも重要な考慮要素となる。

【参考】 満期釈放
 
科料(かりょう・とがりょう)
刑法財産刑(財産の剥奪を内容とする刑罰)の一種。金額は1,000円以上1万円未満であり、刑罰の中で最も軽い。科料を完納することが出来ない者は労役場に留置され労役を行う。
【参考】 労役場
 
観護措置

観護措置は、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するための措置である(少年法第17条第1項)。観護措置には、家庭裁判所調査官の観護に付する措置と、少年鑑別所に送致する措置とがある。

【参考】 少年審判、  審判、  保護処分

 
帰住予定地(帰住地)

刑務所等を退所した後、本人が帰ろうとしている場所のこと。

 
起訴(公訴の提起) 
検察官が裁判所に対して、被疑者が犯人だとして刑事裁判を求めること。「公訴の提起」ともいう。裁判にかけることを「起訴」、かけないことを「不起訴」という。起訴によって対象者が「被疑者」から「被告人」に変わる。
 
起訴猶予

不起訴処分の一種。起訴に十分な客観的な証拠があり、起訴する条件がそろっていても、被疑者の性格・年齢・境遇・情状等を考慮して、検察官の裁量で起訴しないこと。

【参考】 不起訴

 
逆送(ぎゃくそう)

少年の事件は基本的に家庭裁判所にて審判が行われるが、死刑、懲役、禁錮に当たる事件で、同所の審判により、事件の性質や情状から保護処分には適さず、成人と同じような刑事処分が適当と判断した場合に、検察官に送致されること。「検察官送致」とも呼ばれる。送致された少年は成人と同じように公開の法廷で裁判が行われる。平成12年の少年法の改正により16歳未満の少年でも逆送して刑事処分の対象となることが可能となった。

 
CAPAS(キャパス)Correctional Association Psychological Assessment Series

能力検査成人受刑者の作業能力や学力を測定するために財団法人矯正協会によって開発された検査。検査は集団で実施される主に作業適正や思考判断能力を測定する能力検査と、個別に実施される基礎学力を測定する

能力検査に分かれる。刑事施設に入所した者の処置を決定する際にCAPAS 能力検査の結果が参考にされる。知能指数との比較では、「IQ 相当値」が使用される。

 
矯正管区(きょうせいかんく)

矯正施設の適切な管理、運営を図るために設けられた法務省の地方支分部局。札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の8矯正管区が設置されている。

 
矯正施設 

刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導員の総称。

【参考】 刑事施設、 刑事収容施設

協力雇用主
犯罪や非行歴のある人を積極的に雇用し、その立ち直りに協力する民間の事業者。全国に22,472の協力雇用主がいる。(平成3141日現在)
 
居住支援法人
住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どもを養育する者、その他住宅の確保に特に配慮を要する者)の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、住宅確保要配慮者に対し家賃債務保証の提供、賃貸住宅への入居に係る住宅情報の提供・相談、見守りなどの生活支援等を実施する法人として都道府県が指定するもの。(国土交通省HP
 
禁錮(きんこ)
自由刑(施設に拘禁して自由を剥奪する刑罰)の一種。懲役と違い義務としての刑務作業は科されない。ただし、本人の申出によって刑務作業につくことは認められており、禁錮受刑者のほとんどが就業している。懲役と同様に「有期禁錮」と「無期禁錮」がある。過失犯に科される傾向が多い。
 
虞犯少年(ぐはんしょうねん)

20歳未満で、まだ罪を犯していないが、保護者の正当な監督に従わない等の不良行為があり、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれのある者。

【参考】 触法少年、  犯罪少年

 
刑期起算日
刑期計算上の初日のこと。拘禁中の者については、裁判の確定の日。上訴の放棄または取下げによって裁判が確定する時は、その申立書または取下書を所長又は代理者に提出した日。拘禁されていなかった者については、拘禁された日。
 
刑事裁判

刑事事件について、被疑者を検察官が起訴することによって始まり、起訴状に書かれた事実を証拠に基づいて判断し、被告人を有罪と認めたときは、どのような刑罰を科すのが適当かを審理する手続き。

【参考】 民事裁判

 
刑事施設

刑務所、少年刑務所及び拘置所の総称。現在、全国に76か所設置されており、うち少年刑務所、拘置所はそれぞれ6か所、8か所ある(平成29年4月現在)。

【参考】 刑事施設、  刑事収容施設

 
刑事収容施設

刑事施設、都道府県警察に設置される留置施設、海上保安留置施設の総称。

【参考】 矯正施設、  刑事施設

 
刑事収容施設法
正式には「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」。平成17年に制定された刑事収容施設の管理運営及び被収容者の処遇等について規定した法律。それまで刑務所における受刑者は、明治41年に制定された「監獄法」に基づいて処遇されていたが、被収容者の権利保障や受刑者処遇の原則や内容が不十分な点等の理由から、今日的な行刑とはそぐわないものとなっていた。平成15年に設置された「行刑改革会議」の提言が契機となり制定へ結びついた。特徴としては①刑事施設の管理運営の透明化、②受刑者の権利義務、職員の権限の明確化、③受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るための矯正処遇の内容等を明確に示したこと等がある。特に受刑者処遇の目的として社会復帰を原則とすることが明示されたことで、「作業」のみを義務づけていた処遇から、改善指導等の教育的な処遇の充実が図られるようになった。
 
継続保護事業
更生保護事業の一つ。保護を必要とする者を更生保護施設に収容して、宿所および食事の供与、社会生活に適応させるために必要な生活指導等を行うこと。
 
刑罰
犯罪を行った者に対して法律上科せられる制裁。日本では刑の重い方から、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料がある。
 
刑法犯

刑法及び次の法律(特別法)に規定する罪を犯したもの。

①爆発物取締罰則、②決闘罪ニ関スル件、③印紙犯罪処罰法、④暴力行為等ノ処罰ニ関スル法律、⑤盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律、⑥航空機の強取等の処罰に関する法律、⑦人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律、⑧航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律、⑨人質による強要行為等の処罰に関する法律、⑩組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

「一般刑法犯」とは、刑法犯全体から交通事故の場合の自動車運転過失致死傷等を除いた者。これらは過失犯であり量的にも多く数の変動があるため、全体の傾向を正確に知るために使用される。「特別法犯」とは刑法犯以外の特別法上の罪を犯した者。

 
刑名

死刑・懲役・禁錮・拘留・罰金・科料等の刑罰の名称。

【参考】 罪名

 
経理作業

刑事施設で受刑者に課される刑務作業の一つであり、刑事施設を自営していく上で必要な炊事(受刑者等に食べさせる食事を作る係)、洗濯、清掃等の作業を指す。刑事施設内において、ある程度の作業成績や受刑態度、能力を認められた受刑者に対し、これらの作業を行わせることが多い。

 
検挙

犯罪について被疑者を特定し、送致・送付又は微罪処分に必要な捜査を遂げることをいう。逮捕と違い身柄の拘束は伴わない。

【参考】 逮捕

 
検挙件数

認知された事件の被疑者が判明し、検察庁へ送致された件数。警察による事件解明を示す指標となる。原告民事訴訟(行政訴訟も含まれる場合もある)を提起した側の当事者のこと。対義語は「被告」。

【参考】 被告人

 
抗告

→ 「裁判の仕組み」参照。

 
更生緊急保護
刑事上の手続等による身体の拘束を解かれた人で親族の援助が受けられない、福祉事務所などに保護を求めることができないなど、一時的に生活が困難な場合に法律により保護観察所に特別に保護の申し出ができる制度。限られた期間、生活上のアドバイスが受けられたり、更生保護施設での宿泊、帰住の援助などの措置が受けられる。
 
更生保護

罪を犯した者や非行のある少年が、再び罪を繰り返すことなく、社会内において善良な一員として自立できるように適切な処遇を行い、犯罪や非行に陥ることがないよう、改善更生を行うこと。保護観察、更生緊急保護、仮釈放、仮退院等の対象者への措置及び諸活動を指す。社会内において様々な関係者、社会資源等と連携して処遇されることから、「社会内処遇」とも言われる。地方更生保護委員会・保護観察所の公的機関のみではなく、実質的な活動を担う更生保護法人及び保護司の民間関係者、あるいはBBS 会・更生保護女性会の民間ボランティアが協力した、「官民共働」による活動が大きな特徴である。更生保護施設矯正施設退所者や保護観察を受けている人等の内、頼るべき人がいない等の理由で直ちに自立更生することが困難な人に対して、一定期間、宿泊場所や食事を提供したり、就職指導や社会適応のために必要な指導を行う等して、円滑な社会復帰を手助けする施設。全国に103施設あり、法務大臣の認可を受けた民間の更生保護法人や社会福祉法人、NPO 法人等によって運営されている(令和2年4月現在)。

 
更生保護女性会

犯罪や非行をした人たちの立ち直り支援や、地域の犯罪・非行の予防活動、子育ての支援活動等を行う、女性のボランティア団体。全国で1,281団体、14万539人の会員がいる(令和3年4月現在)。

 
控訴(こうそ)
→ 「裁判の仕組み」参照。
 
拘置所(こうちしょ)

主に被疑者、被告人等の身柄を収容する施設。

【参考】  被疑者、  被告人

 
拘留(こうりゅう)
自由刑の一種。1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される。禁錮と同様に義務としての刑務作業は科されない。
 
勾留(こうりゅう)
罪を犯したことが疑われ、かつ①住居不定、②罪証隠滅のおそれ、③逃亡のおそれのいずれかの理由から、捜査を進める上で身柄の拘束が必要な場合に、検察官の請求に基づいて裁判官が勾留状を発付して行う強制処分。原則10日であり、やむを得ないときは10日(内乱罪等の場合には15日)を限度に延長できる。
 
国選弁護制度

被告人が貧困その他の理由で自ら弁護人を依頼できない場合に、被告人の正当な利益を保護するために、被告人からの請求によって子にがその費用で弁護人を船員する制度。

【参考】 被疑者国選弁護制度、 当番弁護士制度

コラージュ(collage)
雑誌や広告・新聞等から写真や絵を切り抜き、台紙に貼って1枚の作品を作成させる美術の表現方法の一種。作成する過程で達成感を味わったり、無意識的な自己を認識する一助とする。行動観察として少年鑑別所で実施されている。
さ行

在所証明書
刑務所に入所していたことを証明する証明書。住民票を更生保護施設の住所に移す際や、入所中に更新期間が切れている免許証等の更新・再発行や保険証等の支払い免除のための申請等に必要な書類。
 
裁定(通算)

未決通算の一つ。裁判所の裁量によって未決勾留の日数全部又は一部を刑に算入することができる。裁定通算の日数は、判決の主文において明示される。

【参考】 法定(通算)

 
裁判の仕組み

わが国では正しい裁判を実現するために、三つの審級の裁判所を設けて、当事者が望めば、原則的に3回までの反復審理を受けられる三審制を採用している。

事件の内容によって、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所で最初の裁判(第一審)が行われる。第一審の判決に不服のある者は上級の裁判所に不服申立ができ(第二審)、第二審の判決にも不服がある者はさらに上級の裁判所に不服申立ができる(第三審)。

最高裁判所は終審の裁判所であるので、その裁判は最終のものとなる。第一審から第二審への不服申立を「控訴」(少年法では「抗告」)、第二審から第三審への不服申立を「上告」という。

 

再犯防止推進法

正式には「再犯の防止等の推進に関する法律」。再犯の防止等に関する施策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、再犯の防止等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、再犯の防止等に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする法律。

 本法第5条において、国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図らなければならないこと、本法第7条第1項において、政府は、再犯の防止等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、再犯の防止等に関する施策の推進に関する計画(以下「再犯防止推進計画」という。)を定めなければならないこと、本法第8条第1項において、都道府県及び市町村は、再犯防止推進計画を勘案して、当該都道府県又は市町村における再犯の防止等に関する施策の推進に関する計画を定めるよう努めなければならないことなどが規定されている。(法務省HP

 
罪名

殺人罪・放火罪のように、犯罪の種類を表す名称。

【参考】 刑名

 
作業報奨金
刑務作業に対する報奨金。日本では賃金制は採用されておらず、令和元年度では1人平均3,132円/月になる(『令和3年版犯罪白書』)。原則として釈放され社会復帰する際に支給される。(令和29年版犯罪白書)
 
3号観察
→ 「保護観察」参照。
 
試験観察
少年に対する処分を直ちに決めることが困難な場合、適当な期間、家庭裁判所調査官の観察に付すこと。「在宅の試験観察」と、民間の篤志家や施設等に住み込みながら指導を受ける「補導委託」に分かれる。
 
示談
犯罪により生じた財産的被害の賠償について、当事者同士で話し合うこと。損害賠償、謝罪等が受け入れられ、示談が成立している場合は、被害者が加害者を許していること(宥恕)の表れの一つとして、被告に有利な量刑となりうる。
 
執行猶予
裁判所が刑を宣告した場合において、刑の執行を一定期間猶予し猶予期間を無事経過した時は、その刑を免除する制度。執行猶予中は保護観察に付することもできる。
 
指定帰住地
矯正施設から仮釈放等になって社会復帰する者が、そこに帰って生活することを指定される場所のこと。
 
指定更生保護施設
「高齢又は障害により特に自立が困難な矯正施設出所者等を保護する指定更生保護施設」の指定を受けた更生保護施設のこと。特別な支援を行うために、福祉の専門職が配置されており、全国で74か所が指定を受けている(令和3年4月現在)。
 
指導監督
→ 「保護観察」参照。
 
児童養護施設
保護者がいない、虐待されている等、家庭における養育が困難で保護を必要としている子供を入所させ、その自立を支援することを目的とする施設。少年法による保護処分の一つに「児童自立支援施設等送致処分」がある。全国に612か所設置されている(令和2年3月現在)。 
 
社会復帰促進センター
→ 「PFI 刑務所」参照。
 
社会復帰調整官
保護観察所において心神喪失者等医療観察法の対象者の生活環境の調整及び精神保健観察に従事する者。制度発足に伴い新たに配置され、全国で220人配置されている(令和元年3月現在)。 
【参考】 心神喪失者等医療観察法
 
釈放事由(しゃくほうじゆう)
仮釈放や満期釈放等、身柄拘束を解かれた理由を指す。
 
就業支援センター
→ 「自立更生促進センター構想」参照。
 
終身刑
受刑者を生涯刑事施設に拘禁する刑罰。仮釈放の可能性が認められていない「無期刑」であり、わが国の現行法では存在していない。 米国や豪州の一部の州、オランダ、中国等で採用されている。社会復帰がなく受刑者に絶望感を抱かせるという人道的な見地からの批判もある。
 
重点実施予定者
高齢(概ね65歳以上)であり、又は障がいを有する被疑者等であって、保護観察所の長により更生緊急保護の重点実施の対象とすることの必要性及び相当性があると判断され選定された者のこと。
 
重点実施対象者
重点実施予定者のうち、保護観察所と地域生活定着支援センターが連携して福祉サービス調整等の支援を行うことが適当であると認められ、かつ保護観察所と地域生活定着支援センターが連携した支援を受けることを希望し、必要な範囲内で公共の衛生福祉に関する機関その他の機関に個人情報を提供することに同意し、更生緊急保護の申し出をした者のこと。
 
準初入(じゅんしょにゅう)

再犯加重の要件を満たさない者のうち、入所度数が2回以上で5年間再犯をしていない者のこと。「準初○入」と記載される。

【参考】 入所度数、 累犯

 
上告 
→ 「裁判の仕組み」参照。
 
常習累犯窃盗
窃盗罪・窃盗未遂罪にあたる行為を常習的にする罪。過去10年間に3回以上これらの罪で懲役刑を受けた者が、新たに罪を犯すと成立する。3年以上の有期懲役とされ、一般の窃盗罪よりも重い。
 
少年院

家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う法務省所管の施設。令和3年4月1日現在、全国に47庁(分院6庁を含む。)令和3年度版犯罪白書が設置されている。少年の年齢や心身の状況により、第1種、第2種及び第3種の3つの種類に分けて設置されており、どの種類の少年院に送致するかは、家庭裁判所において決定される。なお、第3種を除き、男女は別の施設を設けている。そのほか、刑の執行を受ける者を収容する第4種の少年院もある。

少年院では、少年の必要性や施設の立地条件等に応じた特色のあるさまざまな教育活動が行われている。矯正教育の内容は、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導及び特別活動指導から成り立つ。また、円滑な社会復帰を図るため、様々な関係機関と連携を図りながら、在院者の帰住先や就労・修学先を確保するなど社会復帰支援に力を入れている。

少年鑑別所(鑑別所)
主として家庭裁判所から観護措置の決定によって送致された少年を収容するとともに、その心身の状態を科学的方法で調査・診断し、非行の原因を解明して処遇方針を立てるための法務省所管の施設である。
 
少年審判

非行少年(20歳未満の男女)は、14歳以上20歳未満の刑罰法令違反者(犯罪少年)、14歳未満の刑罰法令違反者(触法少年)及び将来刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年(虞犯少年)とに分かれる。

すべての少年事件は一旦家庭裁判所に送られ(「家裁送致」)、更生のための処遇が決定される。担当の裁判官は心理学、社会学、教育学等の専門家である家庭裁判所調査官に命じ、少年の非行の動機や背景、家庭の問題等について調査する。必要であれば少年鑑別所における「観護措置」も実施される。家庭裁判所は家庭裁判所調査官の調査や少年鑑別所の報告を総合し「審判」によって少年の処分(保護処分)を決定する。

処遇指標
受刑者の属性及び処遇の種類及び内容を示す指標。 受刑者は、刑執行開始時に、医学、心理学、教育学等の専門的知識に基づく処遇調査が行われ、処遇指標が指定される。

触法少年(しょくほうしょうねん)

実質的には罪をおかしているが、その行為の時14歳未満であったため、刑法上、罪を犯したことにはならないとされている者。

【参考】 虞犯少年、 犯罪少年

 
自立更生促進センター構想
この構想は、親族や民間の更生保護施設では受け入れ困難な刑務所退所者等に対し、一時的な宿泊場所を提供するとともに、保護観察官が直接、濃密な指導監督と手厚い就労支援を行うことにより、これらの者の改善更生を助け、再犯を防止することを目的とする。このうち、特定の問題性に応じた重点的・専門的な社会内処遇を実施するものを「自立更生促進センター」、主として農業等の職業訓練を行うものを「就業支援センター」と呼んでいる。平成22年3月1日現在、北海道沼田町の「沼田町就業支援センター」(少年院仮退院者等の男子12名の定員)、北九州市の「北九州自立更生促進センター」(仮出所者の男子14名の定員)及び茨城県ひたちなか市の「茨城就業支援センター」(仮出所者及び満期出所者等の男子12名の定員)が運営を開始している。
 
自立準備ホーム
自立準備ホームは,あらかじめ保護観察所に登録されたNPO法人等が帰住予定地が定まっておらず退所後の就労先が未定もしくはこれまで無職・頻回転職傾向にあった出所者を一時的に受け入れる民間の施設。それぞれの特長を生かして自立を促す。施設の形態はさまざまで,集団生活をするところもあれば,一般のアパートを利用する場合もあるが,いずれの場合も自立準備ホームの職員が,毎日,生活指導等を行う。(法務省HP)
 
身上調査書(しんじょうちょうさしょ)
被収容者の犯罪や非行の概要や動機、共犯者の状況、被害者の状況、生活歴、心身の状態等が記載された書類。受刑者を新しく収容した時に、施設所在地の地方更生保護委員会等に送付され、保護観察所の生活環境の調整に使用される。
 
心神喪失者等医療観察法

正式には「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」。刑法39条では、善悪を判断して行動する能力がない(心神喪失)者の行為は「罰しない」、あるいはその判断能力が著しく欠けた者(心神耗弱)の者の行為は「刑を軽くする」と定めている。心神喪失者等医療観察法は、殺人、放火、強盗等の重大な他害行為を行い、心神喪失・心神耗弱を理由に無罪や不起訴等になった者の社会復帰を促進するための処遇を定めた法律。処遇の要否や内容は裁判官と精神保健審判員(医師)の合議体が審判を行い決定する。検察官の申立てがなされると、対象者は鑑定その他医療的観察のために鑑定入院を命じられる。裁判所及び精神保健審判員は鑑定の結果や生活環境を踏まえ、入院・通院・不処遇を決定する。

入院・通院中は厚生労働大臣が指定する指定医療機関で専門的な治療を行う。入院期間は標準18か月程度、通院期間は原則3年。

 

裁判所は指定医療機関及び保護観察所の申立てに基づき、対象者の退院、処遇終了、再入院等を決定する。処遇終了が決定されると、同法による処遇が終了する。

 

審判

家庭裁判所における少年の処分を決定する手続き。調査を行い必要と認められた場合に開催が決定される。成人の裁判に相当する。原則として単独の裁判官により非公開で行われる。審判では少年が保護を必要としているか(要保護性)が中心に審査され、少年に対する処分(保護処分)が決定される。

【参考】 観護措置、 少年審判、 保護処分

 
生活環境の調整
刑事施設や少年院等の矯正施設に収容されている者の社会復帰が円滑に進められるよう、釈放後の生活環境を調整すること。保護観察所によって行われる。調整事項としては釈放後の住居の確保、引受人の確保、改善更生を妨げるおそれのある生活環境からの離脱等の方策がある。調査内容は仮釈放等の審理に活用される。
 
生活行動指針

保護観察における指導監督を適切に行うために保護観察所の長が定めた生活や行動の指針。保護観察対象者は、生活行動指針が定められたときは、これに即して生活し、及び行動するよう努めなければならない。特別遵守事項と異なり、違反した場合でも直接不良措置に結び付かない。

【参考】 一般遵守事項、 特別遵守事項

 
接見(せっけん)
被疑者・被告人が弁護人又は家族・知人等と面会すること。書類や物品の授受が認められている。しかし、逃亡または罪証隠滅のおそれがある場合には、裁判官の決定によって、弁護人以外の者の面会及び物品の授受を禁止される。
 
前科
以前に有罪判決や刑罰を受けたこと。一定の前科がある者が再び罪を犯した時は、前科のあることが刑の加重の要件とされたり、執行猶予を付しえない要件となる。ただし20歳未満の少年時に犯した罪は前科とはならない。前科があることによって各種の資格(権利)が制限されることがある。
 
送検
警察官が検察官に犯罪事件を申し送ること。検察官は捜査を行い、証拠に基づいて犯罪の可否、処罰等を考慮して事件を起訴するか不起訴にするかを決定する。逮捕後48時間以内に被疑者を捜査書類と共に送る「身柄送検」と、被疑者の逮捕・勾留が必要ない等の理由により捜査書類のみを送付する「書類送検」に分かれる。
 
措置入院

精神保健福祉法29条に定められている精神障がい者の入院形態の一つ。直ちに入院させなければ、「精神障害のために自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれがある」と、2名以上の精神保健指定医の診察が一致した場合、都道府県知事または政令指定都市市長の命令により、当該精神障がい者を指定病院等に入院させることができる制度。

【参考】 医療保護入院

た行

逮捕

被疑者が逃走を企てたり証拠を隠滅しそうな場合に、その身柄を拘束すること。逮捕した警察官は、逮捕後48時間以内に、被疑者の身柄を検察官に送検しなければならない。通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕、準現行犯逮捕の4種類がある。

【参考】 検挙

 
玉入れ(たまいれ)
歯ブラシの柄や消しゴム、シリコン等を球状にして、男性陰茎部の皮に爪楊枝等で穴を開け、その部分に上記異物を入れること。
 
断指(だんし)
指を切り落とすこと。反社会集団との関与の度合いを示す指標として、矯正施設関係の書類に記載されることがある。
 
地方更生保護委員会
法務大臣の管理のもとに、仮釈放・仮出院の許可及び取り消し、不定期刑の終了等についての権限を有する機関。保護観察所の事務の監督にもあたる。北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州に設置されている。
 
懲役
受刑者を刑事施設にとどめ一定期間刑務作業に服させる、自由刑(施設に拘禁して自由を剥奪する刑罰)の一種。刑期の定めがある「有期懲役」と、刑期の定めがない「無期懲役」がある。
 
当番弁護士制度

被疑者や家族等からの求めにより、初回無料で弁護士を派遣する制度。一定以上の罪で起訴された被告については国選弁護制度があるが、起訴前は自費で選任するしかなかったことから、平成4年に日本弁護士連合会によって提唱・設置された。申出を受けると各地の弁護士会から派遣された当番弁護士が接見し、権利の説明や助言を行う。初回以降の費用については日本弁護士連合会からの援助を受けることができる場合もある。

【参考】 国選弁護制度、 被疑者国選弁護制度

 
特別遵守事項(とくべつじゅんしゅじこう)

個々の保護観察対象者ごとに定められる遵守事項。一般遵守事項・特別遵守事項に違反した場合は仮釈放取消等の「不良措置」がとられる。

【参考】 一般遵守事項

 
特別調整
刑務所や少年院に入っている者のうち、帰る場所がなく、かつ高齢や障がいといった問題を抱える者について、退所後に福祉的な支援を受けることが出来るよう、各関係機関が連携して特別の手続により社会復帰のための調整を行い、その再犯を防ごうとするもの。
 
特別調整対象者
→ 「特別調整」参照。
 
特別法犯
→ 「刑法犯」参照。
 
特化ユニット

社会復帰促進センターに設置された精神又は身体に障がいを有する受刑者を収容する区域。認知行動療法、SST(社会生活技能訓練)、作業療法(農園芸・陶芸)等の専門的なプログラムを受けさせることで、社会適応力や身体機能を向上させ、改善更生の意欲を喚起するとともに、円滑な社会復帰を促すことを目的としている。

【参考】 PFI刑務所

 
な行

2号観察
→ 「保護観察」参照。
 
26条通報

精神保健福祉法第26条に定められた、精神障がい者又はその疑いのある者を収容あるいは退所(退院)させようとする時に、矯正施設長が本人の帰住地、釈放・退所年月日等を都道府県知事に通報させるように定めたもの。都道府県知事等は通報に基づき調査の上、必要があると認める時は、精神保健指定医に診察させ、自傷他害のため指定病院等に強制入院が必要であると認めた時は、措置入院を行うことができる。

【参考】 措置入院

 
入所度数

刑事施設への入所回数を示す数値。

【参考】 措置入院

 
任意保護
保護観察所の委託ではなく本人からの申出に基づき、更生保護施設が任意で保護を必要とする者を収容すること。保護観察期間、更生緊急保護の期間が過ぎた者等があてはまる。委託費は支給されない。
 
認知件数

警察において被害の届出もしくは告訴・告発に基づき、事件の発生を確認した件数。実際に発生した犯罪・非行との間には差(暗数)が生じる。

認知行動療法
クライエントの感情、思考パターン(認知)、行動が相互に影響を及ぼすという考え方に基づき、不適切な思考パターンや行動を変容させることで、治療ターゲットとなる行動(例えば犯罪行動)や感情(例えばうつや怒り)を低減させようとする治療法。
は行

罰金

財産刑(財産の剥奪を内容とする刑罰)の一種。金額は1万円以上。罰金を完納することが出来ない者は労役場に留置され労役を行う。

【参考】 労役場

 
犯罪少年

罪を犯した14歳以上20歳未満の者。

【参考】 虞犯少年、 触法少年

 
PFI(ぴぃえふあい)(Private Finance Initiative)刑務所
PFI とは、民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の建築、維持管理、運営等を行う公共事業の手法。矯正事業では、「美祢社会復帰促進センター(山口県)」、「島根あさひ社会復帰促進センター(島根県)」、「播磨社会復帰促進センター(兵庫県)」、「喜連川社会復帰促進センター(栃木県)」がPFI 事業を用いて運営されている(平成21年4月現在)。
 
BBS(びぃびぃえす)(Big Brothers and Sisters Movement)会
非行少年に対して「兄」や「姉」の立場に立って、非行防止・健全育成を援助する青年ボランティア団体。全国に約461の地区会があり、約4,935人の会員がいる(令和2年1月現在)。
 
引受人

少年院・刑務所入所者について、退所(退院)後、身柄を引き受ける人のこと。本人と生活を共にする等して、退所(退院)後の本人の改善更生に協力する。被疑者(ひぎしゃ) 犯罪の嫌疑を受け、捜査機関による捜査の対象とされているが、まだ検察官によって起訴されていない者。「容疑者」は俗称。

【参考】 被告人

 
被疑者
「罪を犯したのではないかと疑われている人」を意味する言葉で、捜査の対象にはなっているものの、検察官に起訴されていない人を表す状況で使われる。
 
被疑者国選弁護制度

国民に公正な裁判を受ける権利を保障するため、被疑者に資力がない場合に勾留時から国費で弁護人を付けることができる制度。平成21年5月からは、窃盗等の法定刑の上限が3年を超える容疑で逮捕された被疑者についても、国選弁護を依頼できるようになった。

【参考】 国選弁護制度、 当番弁護制度

 
非行名
→ 「罪名」参照。
 
被告人

起訴されたが、その裁判が確定していない者。刑事裁判では「被告人」が使われる。なお、民事・行政裁判では訴えを起こされた側を「被告」、訴えた側を「原告」という。

【参考】 被疑者

 
微罪処分

処分の必要がないと検察官に指定された軽微な犯罪について、被疑者を送検せず、警察段階で刑事手続きを終了させること。

 
不起訴

ある事件において検察官が裁判所に起訴をせず刑事補導処分の残期間手続きを終了させること。①起訴する条件が欠けている場合、②法律上罪とならない場合、③事件が罪とならぬか、罪となる条件が不十分な場合、④刑が免責されている場合、⑤起訴する条件があるものの、起訴・処罰の必要性がない場合(起訴猶予)になされる。

【参考】 起訴猶予

 
婦人補導院

売春防止法に定める売春勧誘等の罪を犯して補導処分に付された成人女子を収容する国立の施設。職業補導を主とし、更生の妨げとなる心身の障がいに対する医療を行い、自立更生をめざす。収容期間は6か月。東京に1か所設置されている(令和元年4月現在)。

【参考】 補導処分

 
不定期刑

刑期を定めず、その執行状況に応じて刑期を満了させるもの。わが国では刑事処分の対象となった少年に、懲役や禁錮という処罰を科す場合にのみ採用されている。具体的には刑期の上限と下限のみを決めて宣告し、受刑者の改善具合をみて決定するもので、少年の教育的保護を目的としている少年法の精神に基づき採用されている。

 
不良措置

→ 「一般遵守事項」参照。

 
文身(ぶんしん)
入れ墨、または入れ墨を入れること。
 
法定期間の末日(ほうていきかんのまつじつ)

仮釈放の要件となる期間が経過する日。具体的には以下の日をさす。

有期刑:執行すべき刑期の3分の1の期間を経過する日

無期刑:10年を経過する日

少年の時裁判の言渡しを受けた者の特例:

不定期刑:短期の3分の1の期間を経過する日

10年以上の有期刑:3年を経過する日

無期刑:7年を経過する日(ただし、少年法の規定により犯罪を行ったとき18歳未満であったため死刑から無期刑に緩和された者については、10年を経過する日)

 
法定(通算)(ほうてい(つうさん))

未決通算の一つ。法律上必ず行わなければならない未決通算で、刑事訴訟法により、判決言渡し後から上訴の提起期間中の未決勾留の日数等、通算すべき日数が定められている。

【参考】 裁定(通算)、 未決通算

 
保護観察

犯罪者や少年の改善更生と社会復帰を目的として、社会の中でふつうの生活を営ませつつ、遵守事項を守るよう指導・監督し、必要な補導・援護を行うこと。保護観察は「指導監督」と「補導援護」の実施形態で行われる。「指導監督」は面接等により保護観察にふされている者の行状の把握と共に、所定の遵守事項を守るように指導を行う。

「補導援護」は更生に必要な教養、医療、保養、宿泊、宿所、職業等を得るように援助し、家庭環境調整のためのアドバイスを行う。

保護観察官
保護観察所に配置されている、心理学、教育学、社会学、その他の更生保護に関する専門的知識に基づいて、更生保護及び犯罪予防に関する事務に当たる国家公務員。
 
>保護観察所
法務大臣のもとに各地方裁判所の所在地ごとに設置される機関。保護観察の実施のほかに、犯罪予防のための世論の啓発指導、地方住民の活動の助長等を行う。保護観察官が置かれ、保護司の協力を得て活動する。全国に50か所設置されている(令和2年2月現在)。
 
保護司
犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支えるボランティア。法務大臣から委嘱を受け、非常勤の国家公務員とされているが、給与は支給されない。保護観察官と協働して、保護観察、刑事施設や少年院に入っている人の帰住先の生活環境の調整を行うほか、関係機関団体と連携して犯罪予防活動を行っている。全国で約49,000人が委嘱されている。
 
保護上移送(ほごじょういそう)
収容されている刑事施設が本人の帰住地から遠隔であり、身体または精神に障がいがある等の理由で、本人が独力で帰住することが困難であると認められる場合等に釈放前に本人の帰住地の近隣の刑事施設へ移送すること。刑期内に、定着以外の機関同士で移送すること。
 
保護処分

家庭裁判所が非行少年に対して行う少年法上の処分。少年法においては、少年は成人と比べると人格的に発展途上にあるため、改善更生の可能性(可塑性)を有していること、また環境からの影響を大きく受けるため、本人の責任に帰すべきものが小さいことから、犯罪の事実に対する刑罰よりも、少年の成長発達に対する援助が重視されている(保護主義)。「保護処分」とは、このような観点から行われる、少年の非行性を除去し、犯罪の危険性から少年を保護することを目的とした、福祉的・教育的な措置処分であり、刑罰ではない。保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致の3種類がある。なお場合によっては成年と同じ様に処分を受ける場合がある。

【参考】 少年審判、 保護観察

 
保釈

退所後の住居の制限等の条件の下に、勾留中の被告人の身柄を釈放すること。被告人にのみ行われ、起訴する前の被疑者段階では認められていない。保釈時には一定額の保釈保証金を納付し、理由なく裁判所の出頭に応じない場合や付された条件を守らなかった場合には没取される。

【参考】 勾留、 被告人

 
補導委託
→ 「試験観察」参照。
 
補導援護
→ 「保護観察」参照。
 
補導処分

成人売春者に対する更生のための処分。刑が執行猶予になった場合に限り、婦人補導院に収容し更生に必要な指導が行われる。

【参考】 婦人補導院

ま行

満期釈放

拘禁すべき期間の満了により身柄の拘束を解く処分。主に、懲役刑・禁錮刑の刑期終了により釈放される場合を指す。受刑者の場合、刑期満了日の翌日の午前中に釈放すべきとされている。

【参考】 仮釈放制度

 
未決拘禁者

逮捕され、裁判が確定するまでの間、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、身体を拘束されている被疑者・被告人のこと。拘置所や警察署内の留置施設等に収容される。

【参考】 拘置所、 留置施設

 
未決通算(みけつつうさん)

勾留によって拘禁された日数を刑に算入すること、又は算入される日数をいう。算入された日数について、刑期から控除される。「法定通算」と「裁定通算」がある。

【参考】 裁定(通算)、 法定(通算)

 
民事裁判

私人(法人も含む)の間に生じた紛争を裁判によって法律的に解決するための手続き。

【参考】 刑事裁判

 
無期刑
刑期を定めずに刑事施設に拘禁する刑罰。無期懲役と無期禁錮がある。無期懲役・無期禁錮いずれの受刑者も、執行刑期10年経過後に本人の改悛の状がある時に、仮釈放が認められる。
や行

有印私文書偽装(同行使)
他人の印鑑や署名を使って文書を偽造し、カードや通帳を作る等して金品を騙し取る犯罪。交通違反等で他人の名前を申告しても同罪に当たる。
 
4号観察
→ 「保護観察」参照。
ら行

略式手続き
50万円以下の罰金または科料にあたる罪について、簡易裁判所が公判を開くことなく刑事手続きを行う簡略化された裁判の手続き。
 
留置施設(りゅうちしせつ)
都道府県の警察署内に設置され、警察に逮捕された被疑者を収容する施設。勾留された者についても収容される場合がある。留置場、留置所ともいう。
 
領置(りょうち)
刑事施設が被収容者の占有する物品及び現金を保管すること。領置された物品及び現金は被収容者が釈放される際に引き渡される。 
 
累犯(るいはん)

犯罪を反復累行すること。刑法上、懲役に処せられた者が、その刑の執行を終わり、又は執行を免除された日から5年以内の再犯に対し、刑の加重をすることとしている。入所度数では「累○入」と記載される。

【参考】 準初入、 入所度数

 
労役場(ろうえきじょう)

罰金または科料を完納することが出来ない者を留置して労役を課す場所。刑事施設に附置される。

【参考】 科料、 罰金

わ行



※設置数は、支所・文書を含む

※法律用語を除いて「障がい」「障がい者」で統一。

【参考】地域生活定着支援センターガイドブック 令和2年版